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コミュニティ・ファシリテーションの特徴

井戸端会議から世界紛争まで
二人集まれば、それはコミュニティ

一言でコミュニティ・ファシリテーションを説明すると、井戸端会議のような身近かな人間関係から、企業などの組織、世界紛争まで、あらゆる組織・規模の組織・グループを扱えるのが「コミュニティ・ファシリテーション」です。

コミュニティ・ファシリテーションでは、人と人が二人以上集まった場を「コミュニティ」と考えます。それが故、通常ファシリテーションの対象とされる市民団体や企業組織のようなはっきりと目に見える形の組織・グループだけでなく、家族、夫婦、友人などの自然発生的な小さな単位の人間関係、さらには地域や国といった大きな単位まで、あらゆる人と人の関係がコミュニティ・ファシリテーションの対象となるのです。

コミュニティ・ファシリテーションの視点と手法は、いつも意見が食い違い衝突してしまう井戸端会議のような場面でのもめごとから、宗教や政治などが原因となり衝突する民族間の争いや世界紛争まで、応用する事が可能です。

コミュニティにある潜在的な問題に焦点を当てて
コミュニティの活性化を図る

一般的に、ファシリテーションは会議などの話し合いを円滑に進めたり活性化したりすることを指しますが、コミュニティ・ファシリテーションでは、会議の議題と同じように、組織・コミュニティがもつ「潜在的な問題」にも焦点を当てています。

それは人と人とが心を開き合うことを意味します。さまざまな人間関係の背景にある「不信」や「痛み」を癒し共有してこそ、コミュニティは活性化し持続可能になります。同時にコミュニティが癒され活性化し持続可能になることで、個人が癒され活性化し持続可能な状態が築かれ、その結果、活性化の好循環が生まれます。

計測可能な側面と計測不可能な側面
(有形/無形、可視/不可視)

コミュニティ・ファシリテーションでは、現実の計測可能な側面(会議で扱われるような価値基準や数字的な側面など)と、計測不可能な側面(希望、恐れ、態度、葛藤など)に等しく価値を置いています。そうすることにより、組織の総合的・全体的な状況からのファシリテートが可能になり、先のような好循環を生み出すことができます。

例えば企業において計測可能な側面と計測不可能な側面が同等であるということは、財務管理におけるバリュー・チェーン(価値連鎖)や数字的な側面が、組織のメンバーや部署間に存在する希望、恐れ、態度、葛藤などの側面と切り離すことができないということを意味します。その中の特定の部分を、他の部分よりも重要であると見なしてしまうと、重要でないと見なされた諸部分から必然的にトラブルが生まれてくるでしょう。

コミュニティ・ファシリテーションで考える「全体性」と「多様性」は、社会的な正しさや数字上の平等(たとえば、委員会のメンバーを男女同数にする、など)をはるかに越えたものであり、むしろすべての個人、組織内の傾向、体験、あらゆる意識状態を尊重し、大切にするものです。なぜならそのことが、特定のシステムにおけるすべての情報を見つけ、利用していくために欠かすことができないと見なしているからです。

グループや組織を対象とした「カウンセリング」

コミュニティ・ファシリテーションの計測不可能な側面を扱うアプローチは、組織・グループ・コミュニティを対象にした「カウンセリング・セラピー」と言い換えることができます。

例えばさまざまな経緯を経て個々の人間が心を閉じてしまっているグループや組織において、会議などの話し合いの場で課題解決や進捗状況の検討などの話し合いをもっても、場に無意識の緊張や疲弊感が漂っており、話し合いが空転してしまいます。

なぜなら、そのようなグループや組織においては、会議で話し合われる目に見える課題は表面的な問題でしかないからです。背後にある「人と人の信頼感が失われている」という問題に触れなければ、組織自体を活性化することは難しいでしょう。コミュニティ・ファシリテーションはそのような問題にアプローチしていきます。

コミュニティ・ファシリテーションのパラダイムには、トランスパーソナル心理学の一つである「プロセスワーク(プロセス指向心理学)」が大きく影響しています。その意味では、コミュニティ・ファシリテーションでの「ファシリテーター」はグループや組織を対象とした「カウンセラー・セラピスト」的な意味合いも強く含まれます。

自家発電できるコミュニティへ
自己組織化するコミュニティ

コミュニティ・ファシリテーションでは、従来の計測可能な側面に重きを置く価値観や手法も大切にします。ただそれらはコミュニティがある一定の状態に達しているときに有用であるため、計測不可能な側面が大きく関わる問題を抱えている場合、コミュニティ・ファシリテーションの視点や手法が組織・グループ・コミュニティを活性化する上で大きな手がかりとなります。

コミュニティ・ファシリテーションによって活性化されたコミュニティは、自発的に組織を改善する動きが生まれ組織自体が自らを活性化する力をもちます。逆に言えば、活性化している組織はどのような問題が起きたとしても外部のファシリテーターを必要としないのです。

つまり組織が抱える問題はコミュニティを活性化するための入り口であり、コミュニティ・ファシリテーションは、それをきっかけに組織・グループ・コミュニティを持続可能な形で活性化するための自家発電システムに導く手法といえるのです。

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One Response

  1. [...] 「コミュニティ・ファシリテーション」を 提唱している廣水乃生さんより [...]