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活用の場

活用が考えられる状況

コミュニティ・ファシリテーションは、特定の分野に限らず広範囲にわたって視点や手法を応用できるため、組織・グループを活性化する以上に多くの活用の場があります。

  • 個人・組織においての葛藤解決
  • 人間関係の対立の仲介・関係改善
  • 組織・グループのリーダーシップ育成
  • 社員研修等の組織のチームワークづくり
  • 行政と市民などの公共の話し合いの場
  • カップル・家族のカウンセリング
  • 個人の問題に取り組む個人カウンセリング

上記の例はごく一部です。あらゆる人間関係・場にコミュニティ・ファシリテーションは活用可能です。このように広範囲に渡って視点や手法を応用できるコミュニティ・ファシリテーターは、単に組織・グループを活性化するファシリテーターであるだけでなく、組織の葛藤解決のコンサルタントであり、人間関係の対立のミディエーター(仲介者)であり、二人の間のファシリテーションを行うカップルセラピストでもあり、個人の気づきを促す個人セラピスト・カウンセラーでもあるのです。

組織活用例

企業やNPOのようにある目的を共有している組織で、例えば人と人のつながりが表面的になり協力体制が失われ、生産性や効率性を大きく阻害している状況は、コミュニティ・ファシリテーションの活用の場でしょう。

多くのケースで、協力体制が築けないのは個人の問題や部署間の連携の問題だと考え、ルールを明確にしたり、組織改革などを試みたりします。もちろん、そういった対応が効果的なケースも少なくありません。同時に、コミュニティ・ファシリテーションの視点では、協力の問題は単に一人一人の社員の態度や考え方の問題だけでなく、組織や社会自体を大きく支配する価値観などともつながっていると考えます。

例えば、男性上司に食いかかってしまう女性部下の心には長年社会に置かれている男女差別の傷があるかもしれません。それは、その女性個人の問題であると同時に、私たちが社会において取り組む必要のある課題が、会社で起きているとも言えます。男女差別の不利益を受けたことのない男性上司は、こういった女性の気持ちに気づくことができないかもしれません。

もしこの女性の気持ちを聞き理解し、それをこの女性との対応や組織運営に活かすことができれば、こういった問題に直面することがなくなるだけでなく仕事も円滑になることは想像に難しくありません。同時に女性にとってもこういった体験が男女差別の傷から回復させ、男性上司に食ってかかることがなくなるようになるかもしれません。

こういった問題は、公に表明することがタブーと考えられています。仮に話し合いがもたれたとしても、通常個人的な問題として扱われ、仕事や会社組織とは無関係と考えられます。しかし、、それらの問題を取り扱い、心の声を聞き合い分かち合うことで、組織のひとりひとりが心を開き、お互いへの尊重や思いやりが生まれ協力体制につながるのです。

隠れたファシリテーション活用

現在ではファシリテーションという言葉が知られてきたものの、ファシリテーターをおいて話し合いができる場は、大企業の会議や公的なフォーラムなど、ごく一部に限られており、日常の話し合いではファシリテーターがいない場面が圧倒的に多い状況です。

そのたような状況では、当事者同士の問題解決は、硬直して非常に冷え切った状況を抱えたままになるか、状況が悪化し紛糾するかになりがちです。前者の場合、そこにかかわっている人達は硬直したまま長い年月を共に過ごすことに耐えていくことになるでしょう。後者の場合、紛糾後、代理人による裁判や調停などへと発展してしまい、後味の悪い解決になります。

社会的な公正さを前提にもつ法的な手続きや裁判、調停などでは主に計測可能な側面に焦点が当たり、計測不可能な側面が扱われにくいからです。感情的なしこりが、計測不可能な側面が十分扱われない解決における最大の問題であり、最近ではこういった感情的な問題が殺人事件に発展するケースも少なくありません。

一方、コミュニティ・ファシリテーションの視点と手法は、明示的なファシリテーターとしてのスキルに頼らないものなので、自身がファシリテーターいう役割を担わない場合にも非常に有用です。

例えば、新入社員が会議に参加するときや、長年家族にある緊張や不和、恋人同士に繰り返される衝突、地域に根ざす差別、就職活動での面談や集団ディスカッションなどです。こういった場面でさまざまな方向からアプローチでき、状況が悪化する前に取り組むことができたり、悪化したとしてもその問題をきっかけに関係を改善することもできたりします。誰もが日々送っている日常生活の場が、隠れたコミュニティ・ファシリテーションの活用の場になり得るのです。

自分自身をファシリテートする?

例えば同僚が仕事をさぼっているのが許せないとします。それを見てイライラしたり、もしくは同僚に対して冷たくなったりしてしまうかもしれません。いずれにしろそういった状況は幸せな状況とは言えないでしょう。

コミュニティ・ファシリテーションではトレーニングとして自分自身の問題にも焦点を当てて取り組みます。それはファシリテーターとして中立的な態度を身につけるトレーニングとして欠かせないばかりか、自分の抱える葛藤に取り組むことでグループの葛藤をファシリテーションする場合のもっとも身近な事例研究となります。

コミュニティ・ファシリテーションでは、「自分とは思えない自分」というものを常に意識して取り組んで行きます。さまざまな内的な取り組みを通して、自分自身の中にある多様な自分に気づき、そのすべてのパートを自覚して生きていくことで、コミュニティ・ファシリテーターとしての可能性を広げ、コミュニティの中ですべてを歓迎する態度を深めていくことができるのです。

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