ご報告レポート:6/12【東京】社会問題に取り組む対話の場オープンフォーラム体験セミナー
12日に開催された「オープンフォーラムセミナー」は 高校生6名と大人4名で合計10名で開催しました。
セミナーの概要はtwitterで中継しましたので
不十分な情報になるかと思いますが
興味がありましたらご覧ください!
http://twitter.com/comfaci
広島から駆けつけてくれた方もいらっしゃり 皆でお土産の紅葉まんじゅうをいただいたり 和室でゆったりと進められたセミナーでした。
セミナーは3部構成で進められました。
- オープンフォーラムの基礎知識やファシリテーションについて
- ミニオープンフォーラム体験
- オープンフォーラムをデザインしてみよう
オープンフォーラム基礎
オープンフォーラムは, プロセスワークとよばれる心理学のパラダイムを元に 提唱された対話の方法です。
普段人間ひとりの視点からは問題の 一側面しか捉えられない可能性があるため, 複数人でどんなものが見えているか,ということを共有して 問題(テーマ)の全体像を全員で把握していきます。 そして全体を把握した上で,新しい知恵を皆で想像する, といった流れ対話の方法です。
特徴としてはゲストスピーカーを招待すること。 異なった立場の異なった視点を持つ方を招待できるのがベストです。 そしてゲストスピーカ-の体験を話して頂くことで,参加者が話しやすくなる状況が生まれます。たとえば反対意見をもったゲストスピーカー,賛成意見をもったゲストスピーカーに口火を切ってもらうことで,反対意見をもった参加者・賛成意見をもった参加者両方が話しやすくなります。
他に同じプロセスワークベースの ワールドワークと呼ばれる対話の方法があります。 ワールドワークの対話の深さや インパクトは絶大なものがありますが, オープンフォーラムは他の対話の手法と掛け合わせたり, 工夫次第で対話の深さや参加の気軽さなどが 調整できる対話の手法いえるでしょう。
ミニオープンフォーラム体験
ミニオープンフォーラム体験では 「おたくについてどう思いますか?」 がテーマになりました。
高校生から提案されたテーマですが, 少ない時間の中,様々な声がでてきました。 我こそがオタクだ!という声や, そもそもオタクってどんなひと,などなど。
対話を進めていくと,見えてきたのが オタクに対して「そうあるべきでない」といった 「社会の声・規範意識」です。
そして「押しつけがましい」という声と 「本気なんだ」という声もでてきました。
今回は1時間弱の短い間でしたが, オタクというテーマについて見えてきたものがあったようです。
体験での対話は比較的笑いがあり楽しい雰囲気で進行しました。そのためか深刻な地域の問題や反対派と賛成派が同席した場合(オープンフォーラムではこういった違う声をもつひとが参加できるのが一番好ましいのですが)など緊迫したテーマが扱われた場合にどういった展開になるのかイメージがつかないといった感想がありました。
オープンフォーラムをデザインしてみよう
第3部のデザインでは,実際に参加者全員をオーガナイザーグループと見立てて,オープンフォーラムのデザインを体験しました。
「こんなテーマでオープンフォーラムを開催したい」というモチベーションが高いテーマを出し合い,最終的には「食と命」というテーマに決めてデザインを進めていきました。
オープンフォーラムはテーマに関係するゲストスピーカーをお招きするのですが,どのような意見や立場の人を招待するかを,テーマにまつわる声(ロールと呼びます)を見極め決めていきます。たとえば大量生産でなければ採算が合わないと言っている農業従事者,安ければいいと言っている消費者,といった感じです。ただしこの時に,場から非難されやすい立場のひと(たとえば犯罪者など)を招待する場合は交渉が困難になるとともに,ゲストスピーカーの安全性確保のために(心身ともに)とても注意が必要です。
またとても大切なのは,オーガナイザー自身のモチベーションや視点なども場に影響を与える大きな要素なので,インナーワークなどを通して常にチェックしていく必要があります。
その他具体的に企画で気をつけること,実施時に気をつけることなどがたくさんあります。
オンタイムのセミナー中継は下記よりご覧いただけます。 http://twitter.com/comfaci
セミナーを終えて
オープンフォーラムは企画するのは大仕事ですが,企画・進行の自由度が高く幅がある対話の方法だと思いました。他の対話と比較すると,ワールドカフェとワールドワークの中間,といったところでしょうか。ビジネスミーティング的な順序立てた進行を好むひとが多ければ,アイスブレイク的にワールドカフェを盛り込んだり,またその反対であればワールドワーク的要素を盛り込んだりと,場自体を変化させることができると思います。
ただ感情レベルのもの・理論的でないこと・言葉にできないことなども大切に扱っていき,明確な「結果」というよりは起こってくることがらから意味を見いだしていく進行はプロセスワーク特有の進行に思えます。こういった側面から,理論的な対話を好むひとや感情の表現になれていない人には,進行のアレンジなどのサポートの準備をしておくと,ぐっと場にいやすくなると思いました。次回はこの点をクローズアップできるといいかもしれません。
また講師のノリさんがオープンフォーラムを長年研究していて,プロセスワーク研究所での修士論文テーマもオープンフォーラムです。彼が自分自身で企画してきたオープンフォーラムや,ビジネスミーティングの企画経験から,準備のステップや注意事項などがわかりやすくまとめられています。レポートは英語版しか今のところありませんので,日本語訳ができたら公開できたらいいなと個人的に思っています。
一番もりあがったのは(個人的視点ですが)デザインの部分でしょうか。実際にオープンフォーラムを実施したくなりました。
ちょっとノリさん,前半調子よくなかったようですね(笑)
(記録・報告レポート:事務局高田リサ)